2016年3月4日金曜日

卒 業 式 式 辞


  柔らかな春の穏やかな陽気に降り注ぎ、梅の花も馥郁と香るこの今日の佳き日に、香川県教育委員会より教育委員 平野美紀 様をはじめ、香川県議会議員 平木享 様、PTA会長 小原浩司 様ほか多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、ここに平成二十七年度香川県立高松桜井高等学校卒業証書授与式をかくも盛大かつ厳粛に挙行できますことは、校長としてこの上ない喜びであり、厚くお礼申し上げます。

 さて、晴れて今日の日を迎えた普通科3年生二百七十九名の皆さん、卒業誠におめでとうございます。本校を代表し、心からお喜びを申し上げます。先ほど、皆さんの代表に卒業証書を授与しましたが、それはただ単に本校で規定の単位を修得したということに対してのみではありません。皆さんは十五歳から十八歳という多感な時期に、本校において学業のみならず、部活動や学校行事、生徒会活動やボランティア活動、あるいは友人との交流などを通して、様々なことを経験し学びました。楽しいことや嬉しいこともあれば、苦しいことや辛いこともあったことと思います。その中で皆さんは心身ともにたくましく成長し、皆さんの個性を伸ばしてきたことと思います。そのような皆さんの3年間の頑張りに対しても授与された卒業証書と考えています。
 
 今日、世界は、ますます変化の速度を早めています。流動化している大国の力関係、地域紛争や頻発するテロ事件、環境問題や資源・エネルギー問題などの課題が世界のなかで絡み合いながら私達の前に立ち現われるようになりました。国内では少子高齢化がさらに進行するなかで、情報化、グローバル化がますます進み、経済格差が拡大しており、暮らしやすい地域社会をどのように作っていくかが大きな課題となっています。そして、次代を担う皆さんには大きな期待が寄せられているのです。
 
 さて、これからはみなさんの多くが、住む場所が変わり、否が応でも他人と違う自分を強く感じることと思います。奇しくもみなさんは選挙権を日本で最初に十八歳から行使する世代となりましたが、この門出の時の皆さんに私が望むのは、「個としての自立」ということです。自分が物事をどうとらえるのか、何を自分がいいと思うのかということをしっかり考えてほしいのです。もちろん、これから先々いろいろ学ぶことで、またいろいろな体験をすることで変わっていくことだと思います。その時々で自分が好きなことを自由に選べばよいのです。その代わり自分が選んだことに責任を持ち、また、他人が選んだことにも同様の敬意を払わなければいけません。それは孤独を感じる世界かもしれません。しかし、自由で一人ひとりを尊重した世界でもあります。夏目漱石の言う「自己本位」、精神科医の神谷美恵子の説く「使命感としての生きがいの大切さ」も同じことを表しているように思います。卒業に際し、これから皆さんがそのような「個としての自立」の気概を持つようになることを願っています。
 
 最後になりましたが、ご家族の皆様には、これまで、お子様の健やかな成長を願い、支えてこられました。そのことに対し、深く敬意を表すものでございます。眼の前のお子様の立派に成長された姿を前に喜びも一入の事と存じ、改めてお喜びを申し上げます。
 卒業生一人一人の前途に幸多きことを祈りつつ、また、ご臨席の皆様の益々のご健勝とご多幸を祈念しまして、式辞と致します。


  平成二十八年三月四日

香川県立高松桜井高等学校長 内海富啓 

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