2015年12月24日木曜日

2学期終業式 式辞

今日は大変暖かい終業式となりましたが、冬至が来て今は一年で最も陽の光の少ない時期です。今からだんだん日が伸びていくので、古代には冬至が一年の始まりでした。「一陽来復」という言葉があります。陰が極まって陽に転ずることで、冬至ひいては新年のことを著します。この意味から、冬の年中行事は火祭りの形をとるものが多いようです。冬至に柚子湯に入られた方もいると思います。冬至の日に風呂に柚子を入れて入ると体が温まり風邪知らずになるとか、この習慣は冬至と湯治の語呂合わせからとも言われていますが、かつては一年の始まりであった冬至に、柚子の香りや薬効で体を清める「禊」の意味があったといいます。

 さて、今年2015年は皆さんにはどのような年であったでしょうか。私自身は平和ということについて繰り返し考えさせられた年であったように思います。1月にはフランスでシャルリー・エブドという新聞社などが襲われる連続テロ事件がありました。また、過激派組織『イスラム国』で捕まった日本人ジャーナリストらが殺害されるという事件が起き、何も悪いことをしていない日本人が平然と殺される地域が世界にはあるのだと慄然としました。昨日も、日本人ジャーナリストがシリアで武装勢力に拘束されていると報道があったところです。4月には天皇がパラオを訪問され、戦争の慰霊碑に供花等をなされましたが、珊瑚礁で囲まれて綺麗なパラオの海には今も無数の不発弾が沈んでおり、今日も技術を持った元海上自衛隊員がその処理に従事している事を知りました。70年たっても、まだ不安が取り除けないでいる事実に驚くとともに安全を回復するのは大変なのだと改めて知りました。また、国会では集団的自衛権を一部行使出来るようにする法案が議論され、世論も大きく割れたようです。現代の平和のための体制とはいかようなものであるのか、日本はどういう道を目指せばよいのかを考えさせられました。11月にはフランスで連続テロ事件が起こり、平和な普通の暮らしが一瞬のうちに壊されるということが起きました。首謀者とみられる過激派組織「イスラム国」自体をアメリカもロシアも攻撃していますが、いまだに勢力を保っています。

 現実の世界は激しく動いており、私達の国の仕組みも大きく変わっています。日本や世界で起こっている事柄について常に関心を持ち続け、何が正しいかについてよく考え続けることが大切です。
 しかも、これからは18歳から選挙権があるということで、たちまち来年夏の参議院選挙では、18歳に達した人は有権者となります。政治に対して影響力を行使する資格を有することになるわけですから、今まで以上に報道されていることについて関心を持ち、自分の意見を醸成していって欲しいと思います。

 さて、明日からは冬休みです。冬休みは家庭の行事が多く、慌ただしいかもしれません。一方で寒く夜が長いこともあって集中しやすいと感じる人も多いでしょう。3年生は多くの皆さんがセンター試験に向けて最後の追い込みということになります。着実に実力もついてきているようです。桜井高生はこの時期によく力が伸びます。まとまった時間が取れるので、上手に気分転換もしながら頑張ってほしいと思います。進路が決まっている諸君は落ち着いた正月を迎えることと思います。しかし、大学入試は団体戦です。自分がやるべきことにじっくり取り組み、また桜井高校としての入試に向けた雰囲気作りにも貢献して欲しいと思います。1・2年生の皆さんは、自分の来年、再来年の姿がそこにあるわけですから先輩の様子をよく見て、それぞれ勉強に部活動に頑張ってもらいたいと思います。
 
 明治大学の教授で『声に出して読みたい日本語』などの著書のある齋藤孝さんは、テレビのコメンテーターの仕事もしています。テレビといいうメディアは講演や授業と違って時間の制約がとても多い。もっと長い時間、話したいしジョークも言いたい。でも思いどおりには出来ない。だから、最初は不完全燃焼だったそうです。しかし、ある時気付きます。テレビにはテレビのルールがあると。時間の制約もそうだし、求められる役割もある。ジョークを言うのは私ではなく、お笑い担当の芸人さんだろうと。そのことに気づいてから、随分物事が好転し始めたそうです。
 それぞれ求められていて、期待された役割がある。私たちはついつい他のことにはあれこれ口出しをしがちですが、では自分はどうか。自分が今求められていることを優先するのが大切である。このことは私も含めて多くの人に当てはまるのではないでしょうか。


 皆さんそれぞれが健康で充実した冬休みを過ごされることと、ご家族とともに良いお年を迎えられることを祈っております。

2015年11月24日火曜日

人権講演会が行われました

平成27年11月19日

人権講演会が行われました

 徳武産業株式会社の十河孝男さんに全校生徒対象の講演をお願いしました。十河さんは高齢者向けのケアシューズである「あゆみシューズ」を製造・販売している方です。
当初は、十河さんが足にトラブルを起こした方の片方だけ靴を売ってほしいという希望に応じると、同業者から在庫の山ができてしまうと笑われたそうです。そののち、いろいろな要望に応える靴を作って売るようになり、その世界で頑張ろうと決めました。


損得でなく善悪である、と考えたそうです。でも、業界の常識にはずれることもたくさんあり、大変な苦労をされたそうです。そのうち、ニッチ・マーケット(隙間市場)であったということもあって、今ではこの分野では日本一のシェアをもつ会社に育ちました。

 十河さんの会社には年間千通ほどの礼状が来るそうです。「人を大切に」という気持ちは本当に大切なものです。困難もあるでしょうが、それを仕事にできることは素晴らしいことだと思います。

「苦しい時には、その壁を超えることが求められている。また、目標を具体的に描け、そうすれば、困難を乗り越える力がわいてくる」と十河さんは力強く、本校生を励ましてくださいました。
 全体の講演終了後も、質問に訪れた生徒一人ひとりに、具体的なアドバイスをいただきました。十河さんどうもありがとうございました。

2015年11月18日水曜日

サイエンス・ダイアローグ その2

平成27年11月13日

サイエンス・ダイアローグ その2


 今日は「サイエンス・ダイアローグ その2」がありました。今回の講師はカメルーン人のメンジョ・ジュウド・ウィルムンさんです。ジュウドさんは平塚市から来ました。今は東海大学の大場研究室に所属しています。

 ジュウドさんの国カメルーンの名前の由来は「エビが多い」ということだそうです。カメルーンでは英語が公用語のところが2州、フランス語が公用語のところが8州ありますが、ジュウドさんのところは英語が公用語で、カメルーンでは少数派だそうです。
 世界ではたくさんの子どもが水が悪いために、下痢を起こすなどで命を落としています。カメルーンでも硝酸化合物を含む水が、たくさんの人を苦しめているそうです。ジュウドさんはカメルーンの水事情を改善して子どもの命を救いたいと考えて科学者になったのだそうです。
 
 カメルーンではかつて、湖の周辺で1,700人以上の人とたくさんの牛などの家畜が謎の死を遂げたことがありました。ジュウドさんはそのとき7歳で、たいへん怖かったそうです。このときの原因は「湖水爆発」という、火口湖からたくさんの二酸化炭素が一気に噴き出す現象が起こったからだと言われています。ジュウドさんはこの研究のために日本に留学して博士号を取りました。

 そのほか同位体の割合で水の素性(どこに降った水か)がわかるとか、いろいろ興味深い話をしてくださいました。生徒からもかなり突っ込んだ質問が出ていました。ジュウドさん、どうもありがとうございました。アフリカに帰ったら、カメルーンの子どもたちのために、頑張ってください。

EUがやってきた

平成27年11月11日

EUがやってきた

 今日はEUについて知ってもらおうということで、リトアニア共和国の大使夫人メイルーニエネ氏(Ms. Galina Meiluniene)が本校に来てくださり、1,2年生対象にEUについて、またリトアニアについて話してくれました。
 EUの持っている4つの基本理念は、
        1 Democracy
                2 Market Economy
        3 Rule of Law
                  Human Rights
だそうです。また、EUの旗には12の星が描かれていますが、12というのは国の名前ではなく、ダースのような数のまとまりということだそうです。
また、リトアニアについても教えてくれました。現在ではリトアニアからの留学生は大変多くなり50人くらいいるが、かつては大変少なかった(1、2人)こと(リトアニアの人口は約300万人)、自分もかつては日本に留学していたこと、留学していたことが現在に大変役立っていること、日本人に是非リトアニアに来てほしいこと、リトアニア人は杉原千畝にはたいそう感謝していることなどを話してくれました。
 そのあと、質問に答えてくれました。スターリンが話題になったときには、スターリンのしたことを具体的に上げ、リトアニア人がスターリンに対して持っている気持ちを赤裸々に語ってくれました。

 控室では、生徒がクラスでこしらえたメッセージカードを届けてくれ、大変喜んで受け取っていました。

チャーミングで聡明な方でした。私もいつの日にかリトアニアに行くと約束してしまいました。

2015年11月11日水曜日

多肥地区一斉清掃(「香川さわやかロード」)に参加しました

平成27年11月8日

多肥地区一斉清掃(「香川さわやかロード」)に参加しました


 雨模様の天気もなんとかもって(降りそうで降らない香川県)、今日は多肥地区の一斉清掃が行われました。これは香川県の「香川さわやかロード」の取り組みでもあります。本校生徒と教職員、運動部や生徒会・吹奏楽部を中心に総勢200名ほどが8時に学校に集合し、参加しました。もっとも3年生は校外模試をしていましたが。

 秋も結構深まり、道端の雑草も枯れかけています。雑草も意外と抜きやすい! 雨模様が幸いしました。

 終わった後、生徒会の用意したジュースを飲んで、解散しました。

サイエンス ダイアローグ その1

平成27年11月6日

サイエンス ダイアローグ その1 
Studying the Universe and its history



 高校生と最前線の若手科学者と語り合う、「サイエンス ダイアローグ」が行われました。今回本校においでになったのは、フランス人の Florent Duval さん。東京大学ICRRの天文学者です。東京大学ICCR(宇宙線研究所)とは、あの今年ノーベル賞を受賞した梶田隆章さんが所長をしているところです。梶田さんとは私も縁のようなものを感じていますが、それはさておき、われわれとのコミュニケーションのツールは英語ということになります。Duval さんの英語を、私は必死で聞きました。100%はわかりませんでしたが、Duvalさんが何度も言い換えて丁寧に話してくれたのでだいたいはわかったように思います。生徒諸君も似た感じだったのかな。

講義のあといろいろ質問が出て面白かった。宇宙が拡張しているのなら、分子間の距離も広がっているのか、とか、けっこうど真ん中の質問が出ていたように思います。とにかくビッグバンが 13.8 ( thirteen point eight ) billions years ago に起こったというのは頭に強く残りました。
私が感じたのは、英語の力も大切だけど、慣れればコミュニケーションは何とかとれる、それより、宇宙物理について、あるいは世の中のリアル(真実)についてもっと確かなイメージを持ちたい、ということです。生徒と一緒に参加して、こちらも若返ったような気がしました。

Monsieur Florent Duval, エキサイティングな話と質問に対する丁寧な解説、どうもありがとうございました。

来週は、カメルーン人の Dr. Mengnjo Jude Wirmvem が来てくれます。今度のタイトルは、「Hydrogeochemistory and Isotope Hydrogy Significance to human livelihood~」(水門地球科学と同位体水文学)です。楽しみです。

北原先生の本が新聞に取り上げられています

平成27年11月7日

北原先生の本が新聞に取り上げられています

北原先生が本を出版されたことを、以前、書きましたが、新聞でも紹介されています。

  四国新聞   平成27915日朝刊

  朝日新聞   平成27116日朝刊

2015年10月29日木曜日

「学探」で清水章弘氏の講演会が行われました.

10月28日
「学」で清水章弘氏の講演会が行われました
(『学び方探究』「総合的な学習の時間」の取組み)

 本校の総合的な学習の時間の取組みである『学び方探究』の一環として、10月21日(水)7校時、清水章弘氏の講演会が行われました。体育館で、12年生全員が清水氏が考案した『返し縫い学習法』を実際にやりながら話を聞いて、勉強へのやる気がより強くなったようです。
 清水氏は「Chance for Change」をキャッチフレーズにプラスティーという会社を立ち上げ、代表を務めています。様々な教育活動への取り組みをされている方で、『習慣を変えると頭がよくなる』、『自分でも驚くほど成績が上がる勉強法』等の本を出され、この2冊はもちろん、他にもアマゾンの「学習指導部門」でランキング1位となった著書をお持ちです。

 本校では、効果的な学習法という観点からお話をいただきました。講演のあと、希望者対象に清水さんとの対談の時間をもったところ、たくさんの生徒が集まりました。集まった生徒全員に質問用紙を配り、質問を書いてもらったところ、清水さんはすべてに目を通して、答えてくれました。時間が大幅にオーバーしたにもかかわらず、帰りの飛行機の時間が許すまでお話ししてくださいました。

参加した生徒も、自分の質問に対し明快な回答を聞くことができて、迷いが吹っ飛んだようでした。頑張れ、高松桜井生!

2015年10月26日月曜日

本校国語科 北原峰樹先生が、本を出版されました。

平成271026

北原先生(国語科)が本を出版


 このたび、本校の北原先生が本を出版されました。四国新聞でも紹介されています(平成27915日朝刊)。実は北原先生はこれまで、翻訳書として『物語でつづる中国古代神話』(美巧社)、共著として『治水神禹王をたずねる旅』(人文書院)、編著として『大禹謨再発見~それを受け継ぐ人たち~』(美巧社)という本をそれぞれ出版しています。今回出されたのは『平田三郎の生涯~大禹謨を世に出した人~』という本です。その本の内容がどのようなものか。ご本人にいくつか質問をしてみました。

Q そもそも「大禹謨(だいうぼ)とは何ですか
A ここでは「大禹謨」の三文字が彫られている石碑のことを指しています。この石碑は江戸時代の初めに、伊賀上野から讃岐に派遣されて満濃池の修築など、讃岐の治水に大きく貢献をした西嶋八兵衛が建てたとされています。香東川はかつて香川町大野のあたりで二股に分かれていたそうですが、西嶋八兵衛は高松の街づくりや新田開発などのために西側の流れ一本にしました。その工事が終わって、今後の安全を祈願して建てたものと思われます。今その石碑は栗林公園の商工奨励館の中庭に安置されていて、もとあった大野にはレプリカが建てられています。
Q 「大禹謨」の3文字には何か意味があるのですか
A 「禹」とは中国にある黄河の洪水を治めた神さまの名前です。古代中国の聖人という言われかたもします。これまで「大禹謨」とは「大いなる禹のはかりごと」とされることが多かったのですが、実はこの3文字は『書経』の篇の名前で、「~謨」というのは臣下が帝王の質問に答える形で自分の意見を進言する内容の文章です。その内容まで知っていた西嶋八兵衛がこの3文字を選んだのは、当時の生駒藩に対するある思いがあると推測するのですが、詳細は『大禹謨再発見~それを受け継ぐ人たち~』をご覧ください。
Q 「平田三郎が大禹謨を世に出した」とはどういうことですか。
A この「大禹謨」の石碑は長い間埋もれていました。江戸時代や明治時代の書物にも見られません。それが大正元年、香東川の氾濫のあと、堤防工事の際に偶然拾い上げられたのです。ただ当時はそれが何かはっきり理解されず、お墓かもしれないということで近くの薬師如来の横に安置されました。そして時が流れ、昭和20年秋、高松大空襲で大野に疎開していた平田三郎が娘婿と散歩中、ほとんど埋もれていた「石」に文字が刻まれていることに気づき、掘り起こしました。この人はかつて小学校の校長先生をされ、高松市史の編集にも携わった郷土史家でもありました。この「大禹謨」の文字を見て、これは『書経』にある言葉で、禹とは中国の治水神のこと、この地にこうした碑を立てるのは西嶋八兵衛ではないかと思い至ったのです。伊賀上野まで写真を送って確認をお願いしましたが、正式な回答を得られないうちに亡くなってしまいました。しかし、この方がいなければ、「大禹謨」はその価値も見いだされないどころか、そのまま土の中に埋もれてしまった可能性もあります。昭和20年、書物もなかった疎開先で偶然目にした「大禹謨」の3文字から、禹や『書経』、西嶋八兵衛とのつながりまでひらめいた、その人の教養の深さを明らかにしようとしました。
Q 今回この本を出版しようとしたきっかけは何ですか。
A 2年前に「大禹謨」に関する本を出しましたが、その時は、「大禹謨」が再発見されるいきさつや、この3文字にこめられた意味など、「大禹謨」に関する研究や資料を集めたものでした。その編集の途中で、50年前の雑誌に、郷土史家である福家惣衛という人がこの平田三郎について詳細に記録した記事が連載されているのを見つけました。それを埋もれさせないようにしようと思ったことです。
Q 今回何か工夫をしたことがありますか
A 福家惣衛さんが残したのは文章だけでしたので、読者に少しでも興味をもって読んでもらうために、あちらこちらを取材して回り、写真や資料を集めました。そして、文章は右側、それに関連する写真や資料は「トピック」という形で左側にくるようにして、左側を眺めるだけでも、平田三郎の生い立ちや、その時代背景がわかるようにしました。そのほか平田三郎に関係ある人やその人からのメッセージを入れることで、より立体的に平田三郎の生涯を描こうとしたところです。

 文化の秋、郷土史に興味を持っている皆さんはご一読されてはいかがでしょうか。

B5版138p 1080 問い合わせは美巧社087-833-5811へ)

2015年9月4日金曜日

文化祭 開祭式 校長あいさつ より

人間は精神である。精神とは何であるか? 
精神とは自己である。自己とは何であるか?
自己とは自己自身に関係する所の関係である。
すなわち、関係ということには関係が自己自身に関係するものなることが含まれている──それで自己とは単なる関係でなしに、関係が自己自身に関係するというそのことである。
                         『死に至る病』より

2015年9月1日火曜日

平成27年度 第2学期始業式式辞

8月末からにわかに気温も下がり、ずいぶんしのぎやすくなりました。この涼しさは、例年だと彼岸過ぎくらいなのではないかと思います。今年が涼しいのか、最近が少し暑すぎるのかはわかりませんが、朝夕には虫も鳴き、すっかり秋の風情が漂っています。
 日本の夏は蒸し暑く、学者の世界では諸外国と比べ3ケ月のハンディがあると、私が若いころは言われていたものです。この今年の天の恵みを皆さんには活用してもらいたいと思います。

 今年の夏は、戦後70年ということで、首相談話も出され、戦争や平和について多くのことが語られました。また、皆さんもよく知っているように、今、国会で安全保障法案について審議が進んでおり、それに関した報道もたくさんありました。昨日の新聞には、安全保障法案に反対するデモが国会前で行われ、歩道が参加者であふれたので警察が車道を開放したと報じられています。大学生もSEALDsStudents Emergency Action for Liberal & Democracy-s)などの団体をこしらえ参加しているそうです。デモは「集会・結社の自由」として憲法で保障されています。安全保障法案に賛成の意見もあります。若者は理想や建前に走り、戦争の現実を知らないという意見や、声を出すのなら選挙にも行くべきで投票率低下は民主主義にとって危機だ、という若者への意見もあります。新聞等でも賛成・反対いろいろな意見が交わされたので、今年の夏は、今まで以上に戦争や平和についてじっくり考える夏となったのではないでしょうか。

 その選挙についてですが、来年度からは、選挙権年齢が18歳に引き下げられます。今の2年生は、来年の参議院選挙の際に18歳になっている人は選挙権があるということです。これまで以上に皆さんには、公民としての成熟が求められています。社会で起きる様々なできごとに対して、多様な意見を謙虚かつ貪欲に求め、できれば自分の立場を固定せず柔軟さを保ち、粘り強く考え、よりよい未来を創っていく、そういう人になってほしいと思います。

 1学期末の「職員生徒協議会」でパネル応援について話し合いました。アンケートによると今年度は生徒の94%が応援合戦をしてよかったと、答えています。話し合いの内容については、生徒会からまとめが配られると思いますが、生徒諸君からも授業確保とか審査結果の発表方法について、建設的な意見が出されました。今回もオブザーバーが少なかったのが残念ですが、大変素晴らしい話し合いの会になったと思います。そこで結論です。パネル応援については継続します。生徒の意欲が強く、充実したものになることが期待できること、先生方からも生徒の主体性を育てるうえで教育的であるとの意見があったこと等を踏まえてのものです。職員生徒協議会の話し合いの場で出た意見は是非、来年度の運営に反映させていってもらいたいと思います。ただし、今後も今年のように生徒が自主性を育くみ、集中した集団行動を行うのなら、という条件付きです。ダラダラして成果が認められないようなら、やめようと思います。

校内ではこれから文化祭です。1,2年生中心に準備がまさに佳境に入ろうとしています。特に1年生は、初めてで何もよくわからないとは思いますが、しっかり取り組んでもらいたいと思います。それから、全校生にお願いですが、パネル応援の実施について検討したことを思い出し、学校行事とは何か、何のためのお祭り騒ぎか、どう楽しむべきかを、各人考えて文化祭に参加してほしいと思います。本校生は1を聞いて10を知る、ということができる、と思っています。
 秋は実りの時です。1,2年生は学校行事にも勉学にも部活動にも、力いっぱい取り組んで、自分の人間力を大きくしてほしいと思います。また、秋の夕日はつるべ落としとも言います。秋は時間の大切さを感じる時でもあります。2学期が充実した時となることを願っています。

 3年生は、受験勉強、あるいは就職準備の夏、うまく過ごせましたか。「夏を制する者は受験を制する」と言われます。現役生にとっては特に夏休みを過ぎると、毎日がとても速く過ぎていくことと思います。しかし、大切なのは、日々、リズムよく勉強を積み重ねることです。大人になればなるほど、「努力する能力」が大切になってきます。どんなに頭のいい人でも、やらずにできるわけがないのですから。また、7月の模試の結果にも、悩んでいる人もいるかもしれません。自分の不得意なところを見つけ、その手当をし、また、得意なところを伸ばしましょう。ちなみに、昨年の3年生も、7月模試では結構苦労していました。でも、成果を出していきました。皆さんにも必ずできます。受験勉強は実は長い。3月まで中下旬まであります。まだまだ時間はあります。焦らず、空回りしないよう計画的に勉強してください。
 
今日は、このあと、県会議員からお話があります。これは、このたび香川県議会において、選挙年齢の引き下げが、政治への関心の高まりにつながるよう、「高校生議会」を開くことになったことを受けてのことです。それで、そのことについての説明を香川県議会議員にしていただくことになりました。本校では、香川県議会議員 松原哲也 さんにしていただくことになっています。よく聞いてください。終わります。


平成27年9月1日

2015年8月3日月曜日

吹奏楽のコンクールに行ってきました

毎日、大変な暑さが続いていますが、皆さん、お変わりございませんか。
今日(7月31日)は全日本吹奏楽コンクール 香川県大会 に、あなぶき大ホールへ来ています。本校は高等学校A部門に出演し、課題曲Ⅱと自由曲は歌劇「マノン・レスコー」より を演奏しました。
指揮は小林由希子先生でした。熱のこもったいい演奏でした。

結果は銀賞で、昨年と連続の四国大会出場はなりませんでした。でも、吹奏楽部員一人ひとりは、全部やりきった、という思いでいっぱいだったに違いありません。よくやった!お疲れ様でした。

2015年7月24日金曜日

平成26年12月24日

今年のノーベル賞は物理学賞に赤崎勇教授、天野浩教授、中村修二教授の3人が
選ばれました。
日本人が3人も選ばれ、また、青色発光ダイオードは私たちの世界を変えつつある
ことに喜びを感じます。
一方、平和賞は17歳のマララ・ユスコザイさんが受賞しました。
皆さんも知っているように、マララさんは2年前タリバーンの襲撃を受け、
首と頭に2発の銃弾を受け、その後奇跡的に回復しました。
彼女がタリバーンに狙われたのは、タリバーンの女子校破壊など
女性の教育を受ける権利を奪う活動を批判し、女性への教育の必要性や
平和を訴える活動をしたからです。
彼女は銃撃事件後の国連でのスピーチで、こう言っています。
抜粋です。
私は声を上げます。といっても、声高に叫ぶ私の声を届けるためではありません。
声が聞こえてこない「声なき人々」のためにです。それは、自分たちの権利のために
闘っている人たちのことです。
平和に生活する権利、尊厳を持って扱われる権利、均等な機会の権利、そして
教育を受ける権利です「ペンは剣よりも強し」ということわざがあります。
これは真実です。過激派は本とペンを恐れます。教育の力が彼らを恐れさせます。
彼らは女性を恐れています。女性の声の力が彼らを恐れさせるのです。
私たちの学校にいた少年に、あるジャーナリストがこんなことを尋ねていたのを
覚えています。「なぜタリバーンは教育に反対しているの?」。
彼は自分の本を指さしながら、とてもシンプルに答えました。
「タリバーンはこの本の中に書かれていることがわからないからだよ」
パキスタンは平和を愛する民主的な国です。
パシュトゥン人は自分たちの娘や息子に教育を与えたいと思っています。
イスラムは平和、慈悲、兄弟愛の宗教です。
すべての子どもに教育を与えることは義務であり責任である、と言っています。
無学、貧困、そしてテロリズムと闘いましょう。
本を手に取り、ペンを握りましょう。
それが私たちにとってもっとも強力な武器なのです。
1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられます。
教育こそがただ一つの解決策です。エデュケーション・ファースト
(教育を第一に)。」
日本では、第2次世界大戦後、女性の解放や教育の自由主義化が行われ、
女性の社会的地位の向上、教育における男女平等が図られました。
しかし、皆さんにとっては当たり前のことが、決して当たり前でない世界があり、
そこで17歳の少女が勇敢に行動しているということを、胸に留めておいてほしいのと、
教育を受ける権利の大切さとそれを支えている平和ということの大切さと、
自分にできることは何かについてよく考えてほしいと思います。
                                                             (平成261224日)

2015年7月23日木曜日

本校生、高校生オーストラリアタスマニア派遣団に選ばれる!

平成27年度の高校生オーストラリアタスマニア派遣団(公益財団法人かがわ海外交流財団 下村正治理事長)の一員に本校生が選ばれました。今日はその結団式・壮行式に参加してきました。
 13日間、オーストラリアタスマニア州プロスペクトハイスクールを訪問し、ホームステイを体験しながら高校生や現地の人と交流を深めるプログラムです。
 しっかり国際交流に努めてきてほしいと思います。いい経験になるように。何よりそのチャレンジ精神に拍手!

2015年7月17日金曜日

1学期終業式で話したかったこと

1学期に終わりにやってきた台風11号は、終業式を吹き飛ばしてしまいました。また、国会では日本の安全保障の仕組みを大きく変える法案が衆議院を通過しました。この2015年の7月は、皆さんが大人になった後で、記憶に大きく残る時となるかもしれません。
 皆さんのこの1学期の過ごし方はどうだったでしょうか。皆さん一人ひとり、4月から今までの自分の過ごし方を振り返ってもらいたいと思います。区切りでしっかり考えるのは大切なことです。なぜなら、よく考えることは自己変容につながるからです。人間は意識することによって、自分を変えていくことができます。自分で自分を律すること、ドイツの哲学者カントはそこに人間の尊厳を見出しました。しかしそのような意志の力を生ずるには、よく考えることが不可欠です。
 さて、区切りの時に当たって、自分についてよく考えることは大切です。今日は、それだけでなく、自分をとりまく社会について考えることの大切さについてお話しします。
 皆さんは今、人生の中で大変多感な時期を過ごしています。物事を柔軟にとらえて深く感じることができる時です。そのようなときにいろんなものを見て、聞いて、話してみてほしいと思います。むつかしい社会問題になると「見ざる、聞かざる、言わざる」を決め込んでいる人が多いように思います。これではだめだと思います。いろいろむつかしい問題についても、一面的な解釈で済まさずに、いろんな視点からじっくり考えることが大切だと思います。マスメディアでは、この頃は「はっきりものを言う」人物がもてはやされる傾向がありますが、もちろん大切なのは言っている内容です。ヒトラーはずいぶんはっきりと明快に話していました。とにかく、じっくり考えること。自分の頭を使わずに楽をしているばかりでは、私たちをとりまく本当の世界は見えてきません。
 イタリアの映画監督で、小説家のピエルパオロ・パゾリーニはこう言っています。
「消費社会は民主主義をどんどん破壊していくだろう。新しい『モノ』を手に入れるごとに、それと引き換えに、民衆は自由を失っていくだろう」
 確かに自分をとりまく社会について自分の頭で考え、行動するのは大変なことです。それより、おいしい店に行って人気料理を食べるとか、おしゃれな店に行ってショッピングするほうが楽しいに決まっています。日本のような高度消費社会では、そのような楽しみはすぐ手近にあります。でもやはり、それだけではだめなのです。自由は、私たちが「モノ」中心のライフスタイルに慣れ、「どう生きるべきか」を考えるのをやめたときに、消えてなくなるのです。自由がなくなった社会がどんなに悲惨なものかは、世界の様々な独裁国家を見ればすぐわかります。
 これから先、皆さんも20歳になり、40歳になり、60歳になっていきます。その時の社会が、今よりも少しずつでもよいものとなるよう、努めてもらいたい。

 今から長い夏休みが始まります。この時期は戦争や平和についても大きく報道される時です。それも私たちの考えるべきことの一つだと思います。皆さんにはぜひ、自分をとりまく社会のことを、さまざまな角度から、受け身でなく、自分から能動的に考えていく姿勢を養ってほしいと思います。

2015年6月29日月曜日

総体、四国大会、高校放送コンテスト 頑張ッテマス!

  平成27年6月7日
高校総体 水泳競技

 平成27年度総体の水泳競技会場である香川県立総合水泳プールです。今年は、県高校新記録が1つ、大会新記録が3つ出ました。高松桜井高校は、なんと女子が総合優勝しました。スバラシイ。これは、本校としては初の快挙です。他の競技でも、陸上やり投げ1位、テニス団体女子準優勝などの情報が入ってきました。
生徒の頑張りに拍手!                    


平成27620
四国選手権大会 陸上競技

 今日は、四国大会の応援に鳴門に来ています。鳴門大塚スポーツパークのポカリスエットスタジアムで陸上競技が行われています。
男子400mを観戦。本校は見事、予選を突破しました。

平成27620
四国選手権大会 剣道競技

 こちらは、同じ敷地内のソイジョイ武道館。四国選手権大会 剣道 男子団体戦です。強豪が集まり、息詰まる雰囲気の中、裂帛の気合いの掛け声が響き渡るなか、本校生も熱戦を展開しています。



平成27621
香川県高等学校放送コンテスト

 今日は、高校放送コンテスト。アナウンス部門、朗読部門、テレビとラジオの番組制作の部門があります。
アナウンス部門と朗読部門は、今日、予選と決勝が行われました。
優秀者は夏のNHK杯全国高校放送コンテストに出場します。
審査員には、専門のアナウンサーの方に就いていただいています。
 高松桜井高校は、アナウンス部門第2位、朗読部門第2位をかち取り、アナウンス部門総合第2位となりました。2名がNHK杯に出場です。

おめでとう!

2015年6月1日月曜日

いよいよ、高校総体

毎日、暑くなってきました。いよいよ、高校総体が始まります。

5月30日にはサッカー部が早期開催の1回戦を戦いました。

瀬戸大橋記念公園球技場はいい天気、というか、夏の日差しが真上から照り付ける陽気になりましたが、さいわい風はからっとして熱い中にもしのぎやすく感じました。

試合の方は、途中までなかなか得点できずやきもきしましたが、サッカー部の諸君の奮闘で勝利し、1週間後の各部の総体に向けていい先駆けとなりました。他の部もサッカー部に続け!

ちなみに昨年度は、ベスト8以上の好成績を上げた部は陸上部、剣道部、テニス部、卓球部、水泳部、ハンドボール部、新体操部です。3年生にとっては3年間の集大成、人によってはもっとながくやってきたスポーツの総決算になる人もいるでしょう。また、1,2年生にとっては、日ごろの活動の成果を試すときです。それぞれが最後までベストを尽くして、粘り強く頑張ろう。


高松桜井高生の健闘を祈る!

2015年5月19日火曜日

校長式辞・校長講話より


 江戸時代初期の剣豪で二刀流の開祖の宮本武蔵という人がいます。
人生で、60余回戦い、すべて勝利したとも言われています。彼は「我、事に於いて後悔をせず」と言いました。
 私たちの人生では、何度か大きな決定があります。そして、決めたあと、それでよかったのか不安に思うことがあります。しかし、選んだあとは、よほどのことがない限り、その道を追い求め、寄り添い、付きあうことが大切です。そうやってはじめて見えてくるものがあります。悩んだり、選び直したりして、いつまでも入り口付近でさまよっていたりするよりも、ひとつのことを追求してその高みに至ることのほうがずっと充実した、納得のできる生き方になると思います。現実の自分を「よし」と引き受けてひたむきに努力を重ねて欲しいと思います。
平成26年4月7日

 現代は大きな変化の時代です。それにともなって多くの課題があります。進展する情報化・国際化やグローバル化、少子高齢社会の到来、財政問題、人知の及ばぬ自然の脅威等。みなさんは、これらの時代の課題に対峙し、力強く生き抜いていかねばなりません。私たちの高松桜井高校は、「自ら主体的に学び、考え、行動するたくましい人間の育成」を教育目標としています。今日はこの自ら学び、考えることに大切さについて、お話しします。
 東京造形大学の前学長である諏訪敦彦さんが、「経験という牢屋」とお話をしています。諏訪さんは、地方から東京造形大学に進学し、偶然に出会った人たちの映画作り手伝うようになりました。大きな充実感と刺激を感じ、そうして、だんだん大学に対する期待を失っていきました。やがて大学を休学し、数十本の映画の助監督をして、仕事ができるようになっていることに満足していました。そんな時、諏訪さんは大学に戻り、初めて自分の映画を作ります。同級生に比べて多くの経験があったので自信がありました。ところが、作品は惨憺たる出来でした。大学の友人からも全く評価されませんでした。一方で、同級生たちの作品は、経験も、技術もなく、破れ目のたくさんある映画でしたが、自由な発想に溢れていました。諏訪さんは、言っています、
「授業に出ると、現場では必要とされなかった、理論や哲学が、単に知識を増やすためにあるのではなく、自分が自分で考えること、つまり、人間の自由を追求する営みであることも、おぼろげに理解できました。驚きでした。大学では、私が現場で出会わなかった何かが蠢いていました。私は、自分が「経験という牢屋」に閉じ込められていたことを理解しました。」と。 
 諏訪さんは、働くことをやめて、大学に戻りました。
「経験という牢屋」とは何でしょうか? 現場の経験によって身につけた能力は、仕事の作法のようなものです。その作法が有効に機能しているシステムでは、能力を発揮しますが、誰も経験したことのない事態に出会った時には、それは何の役にも立たないものです。しかし新たに何かを創造する仕事は、まだ誰もが経験したことのない跳躍を必要とします。それはある種「賭け」のようなものです。それはまた、探求といってもよいでしょう。まだ誰も知らない価値を探求するのに必要な飛躍。そのような飛躍は、経験では得られないのです。それは「知性」によってはじめて可能となることなのです。
 この自ら学び、考えることの大切さは高校でも変わりません。むしろ、高校からそのような訓練をしていくことが大切だと申せましょう。皆さん、本校での高校生活のなかで、自ら学び、考える態度を身につけていってもらいたいと思います。
平成26年4月8日 入学式式辞より

2015年5月17日日曜日

各教科より ◇英語科

1.学力差が生じるのはなぜ?

 世の中には,同じだけ時間をかけて英語を学んできたのに,得意な人とそうでない人がいるのはなぜだろうと考えたことはありませんか。数学や国語,サッカーや芸術も,同じ勉強時間や練習時間でも,成果に差が生じるのは一体どうしてなのでしょう。多くの場合,頭の良さや才能が原因ではありません。現代の科学では,その謎の多くが明らかになってきました。
 南カリフォルニア大学のM. H. Dembo氏は,成績を左右する要因は,「どれだけ長く」ではなく,「どうやって」勉強するかだとして,自分自身の責任を自覚し,学習をうまくコントロールすることが重要だと説いています。つまり,「時間をかけて,一生懸命に」ではなく,「勉強への考え方を修正して,有効な方法で」勉強すれば,結果が出るということです。

2.責任感
 もっとも重要なのは,勉強に対する「責任感」です。ノースカロライナ大学のD. Schunk氏とニューヨーク市立大学のB. J. Zimmerman氏は,自分の学習に責任を持つ生徒の方が,そうでない人よりも好成績を収められることを明らかにしました。どんなに素晴らしい授業を受けても,「勉強するのは自分だ」との自覚がなければ,その時間は無駄になります。どんなに難しそうな本でも,「自分の責任でやる勉強だ」との意識があれば,読み方が調整され内容が理解しやすくなります。

3.動機づけ
 「動機づけ」は,誰かが与えてくれるものと思ってはいませんか。ロチェスター大学のE. L. Deci氏によれば,「外から動機づけられるよりも自分で自分を動機づける方が,創造性,責任感,健康な行動,変化の持続性といった点で優れて」いるそうです。ひょっとして,強制されないと勉強できないなどと誤解してはいませんか。それでは,効果は上がらず長続きもしません。では,どうすればいいのでしょうか。何よりも,自分がやるべきことを,自分自身で選ぶことが重要だそうです。あなたの目標は何ですか。あなたは,そのためにどうしたいのですか。どんな状態のときに,我を忘れて物事に没頭できていますか。自分自身をじっくり見つめ直してみましょう。あなたの本当の気持ちは,あなたにしかわかりません。

.学習技術 

あなたの気持ちを整理したら,時間物理的・社会的な環境のコントロールが次の課題です。 実行可能な学習計画をいつも立てていますか。「今日は英語を勉強しよう」ではなく,「教科書文の要約を英語で書いて,シャドウイングを3回やろう」などの具体的な目標を定めていますか。
長い時間でなく,10分以内の「すきま時間」を意識して使えていますか。例えば,授業前後の5分ずつで,その授業をいかすために教科書やノートに目を通していますか。 机やカバン,本棚などの,どこに何を置くかを決めずに,いつも何かを探したり,無くしたりしていませんか。好きな音楽を聴いて勉強に集中できているつもりでいても,実は,集中しているのは,歌詞やメロディーにであって,学習自体にではないことに気が付いていますか。勉強BGMとして実際に役立つ音楽は,ブルガリアの医学博士,GLozanovらの研究成果によれば,クラシック(バロック)音楽だけだったということを知っていますか。 
どうしても自分で解決できないことは,先生やよくできる人に質問する方が,途中で投げだしたり,ほったらかしにしたりするよりも,はるかに効果的であることがカリフォルニア大学のRS. Newman氏らにより明らかになったことを知っていますか。  
以上は,基礎的な学習技術の例であって,英語学習に限ったことではありません。ここまでができていれば,次は英語学習に特有の学習方略目標に向かって学習を成立させるための意識的なり組みの活用です。 

.英語学習方略 

例えば,「単語を覚える」と言えば,覚えたと思うまでひたすら書くものだと思い込んでいませんか。これだと,まとまった時間が必要なわりに,すぐに多くを忘れてしまいます。それなら,他の方法を試してみませんか。まず,単語帳を利用したり,覚えたい単語リストを作ったりして,すきま時間に「短時間」ながめることを「複数回」繰り返しましょう。覚えにくいものは単語カード(ヴィクトリア大学のPNation氏らにより効果が再認識されてきました)に写して,目に触れる頻度を増やしましょう。一方,頭を使って考えることで,既知の単語に関連付けたり,単語の持つイメージを利用したり,さらには語呂合わせも時には有効です。また,今の入試に合わせて,コロケーションや使えることを重視したい人は,長文や例文の中で覚えましょう。ただし,日本人の場合,異なる文脈で20回以上も触れないと,単語は記憶に残らないことが,ノートルダム清心女子大学のRWaring氏らの研究からはっきりしています。英語をただ読んだり,聞いたりするだけで語彙を習得できると考えるのは早計です。 
それでは,語彙以外の効果的な英語学習方略をどれぐらい知っていますか。読解や作文に有効な学習方略を知っていますか。ここから先は,英語科の先生に直接聞いてみてください。ちなみに,すべての段階で,自分自身の考えや行動を自分でモニターして修正する力(メタ認知能力)が,学力向上にはぜったいに必要であることをひとこと付け足しておきます。