2015年7月24日金曜日

平成26年12月24日

今年のノーベル賞は物理学賞に赤崎勇教授、天野浩教授、中村修二教授の3人が
選ばれました。
日本人が3人も選ばれ、また、青色発光ダイオードは私たちの世界を変えつつある
ことに喜びを感じます。
一方、平和賞は17歳のマララ・ユスコザイさんが受賞しました。
皆さんも知っているように、マララさんは2年前タリバーンの襲撃を受け、
首と頭に2発の銃弾を受け、その後奇跡的に回復しました。
彼女がタリバーンに狙われたのは、タリバーンの女子校破壊など
女性の教育を受ける権利を奪う活動を批判し、女性への教育の必要性や
平和を訴える活動をしたからです。
彼女は銃撃事件後の国連でのスピーチで、こう言っています。
抜粋です。
私は声を上げます。といっても、声高に叫ぶ私の声を届けるためではありません。
声が聞こえてこない「声なき人々」のためにです。それは、自分たちの権利のために
闘っている人たちのことです。
平和に生活する権利、尊厳を持って扱われる権利、均等な機会の権利、そして
教育を受ける権利です「ペンは剣よりも強し」ということわざがあります。
これは真実です。過激派は本とペンを恐れます。教育の力が彼らを恐れさせます。
彼らは女性を恐れています。女性の声の力が彼らを恐れさせるのです。
私たちの学校にいた少年に、あるジャーナリストがこんなことを尋ねていたのを
覚えています。「なぜタリバーンは教育に反対しているの?」。
彼は自分の本を指さしながら、とてもシンプルに答えました。
「タリバーンはこの本の中に書かれていることがわからないからだよ」
パキスタンは平和を愛する民主的な国です。
パシュトゥン人は自分たちの娘や息子に教育を与えたいと思っています。
イスラムは平和、慈悲、兄弟愛の宗教です。
すべての子どもに教育を与えることは義務であり責任である、と言っています。
無学、貧困、そしてテロリズムと闘いましょう。
本を手に取り、ペンを握りましょう。
それが私たちにとってもっとも強力な武器なのです。
1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられます。
教育こそがただ一つの解決策です。エデュケーション・ファースト
(教育を第一に)。」
日本では、第2次世界大戦後、女性の解放や教育の自由主義化が行われ、
女性の社会的地位の向上、教育における男女平等が図られました。
しかし、皆さんにとっては当たり前のことが、決して当たり前でない世界があり、
そこで17歳の少女が勇敢に行動しているということを、胸に留めておいてほしいのと、
教育を受ける権利の大切さとそれを支えている平和ということの大切さと、
自分にできることは何かについてよく考えてほしいと思います。
                                                             (平成261224日)

2015年7月23日木曜日

本校生、高校生オーストラリアタスマニア派遣団に選ばれる!

平成27年度の高校生オーストラリアタスマニア派遣団(公益財団法人かがわ海外交流財団 下村正治理事長)の一員に本校生が選ばれました。今日はその結団式・壮行式に参加してきました。
 13日間、オーストラリアタスマニア州プロスペクトハイスクールを訪問し、ホームステイを体験しながら高校生や現地の人と交流を深めるプログラムです。
 しっかり国際交流に努めてきてほしいと思います。いい経験になるように。何よりそのチャレンジ精神に拍手!

2015年7月17日金曜日

1学期終業式で話したかったこと

1学期に終わりにやってきた台風11号は、終業式を吹き飛ばしてしまいました。また、国会では日本の安全保障の仕組みを大きく変える法案が衆議院を通過しました。この2015年の7月は、皆さんが大人になった後で、記憶に大きく残る時となるかもしれません。
 皆さんのこの1学期の過ごし方はどうだったでしょうか。皆さん一人ひとり、4月から今までの自分の過ごし方を振り返ってもらいたいと思います。区切りでしっかり考えるのは大切なことです。なぜなら、よく考えることは自己変容につながるからです。人間は意識することによって、自分を変えていくことができます。自分で自分を律すること、ドイツの哲学者カントはそこに人間の尊厳を見出しました。しかしそのような意志の力を生ずるには、よく考えることが不可欠です。
 さて、区切りの時に当たって、自分についてよく考えることは大切です。今日は、それだけでなく、自分をとりまく社会について考えることの大切さについてお話しします。
 皆さんは今、人生の中で大変多感な時期を過ごしています。物事を柔軟にとらえて深く感じることができる時です。そのようなときにいろんなものを見て、聞いて、話してみてほしいと思います。むつかしい社会問題になると「見ざる、聞かざる、言わざる」を決め込んでいる人が多いように思います。これではだめだと思います。いろいろむつかしい問題についても、一面的な解釈で済まさずに、いろんな視点からじっくり考えることが大切だと思います。マスメディアでは、この頃は「はっきりものを言う」人物がもてはやされる傾向がありますが、もちろん大切なのは言っている内容です。ヒトラーはずいぶんはっきりと明快に話していました。とにかく、じっくり考えること。自分の頭を使わずに楽をしているばかりでは、私たちをとりまく本当の世界は見えてきません。
 イタリアの映画監督で、小説家のピエルパオロ・パゾリーニはこう言っています。
「消費社会は民主主義をどんどん破壊していくだろう。新しい『モノ』を手に入れるごとに、それと引き換えに、民衆は自由を失っていくだろう」
 確かに自分をとりまく社会について自分の頭で考え、行動するのは大変なことです。それより、おいしい店に行って人気料理を食べるとか、おしゃれな店に行ってショッピングするほうが楽しいに決まっています。日本のような高度消費社会では、そのような楽しみはすぐ手近にあります。でもやはり、それだけではだめなのです。自由は、私たちが「モノ」中心のライフスタイルに慣れ、「どう生きるべきか」を考えるのをやめたときに、消えてなくなるのです。自由がなくなった社会がどんなに悲惨なものかは、世界の様々な独裁国家を見ればすぐわかります。
 これから先、皆さんも20歳になり、40歳になり、60歳になっていきます。その時の社会が、今よりも少しずつでもよいものとなるよう、努めてもらいたい。

 今から長い夏休みが始まります。この時期は戦争や平和についても大きく報道される時です。それも私たちの考えるべきことの一つだと思います。皆さんにはぜひ、自分をとりまく社会のことを、さまざまな角度から、受け身でなく、自分から能動的に考えていく姿勢を養ってほしいと思います。